雑記

工場の生産技術職という仕事

2021年2月4日

とある工場の生産技術職として働いている。自慢のようになってしまうのであまり言いたくないが、一部上場企業、いわゆる大企業に勤めている。

まあ一部上場企業と言っても世間の認知度はそこまで高くないので、勤め先を明かしても「どこそこ?」という人が多い。知っている人は「おお、良いとこに勤めているね!」とリアクションしてくれる、その程度だ。

給料は良い方だし、世間での評判もそこまで悪くないので、周りからの評価はそこそこ良い。大学生のときに就職活動を頑張り、今のこの地位が有るわけだが、実際の所、この会社に入ったことを後悔している。

後悔の理由は「生産技術職」という職業の過酷さにある。

 

工場の生産技術職とは

工場の生産技術職は、自分の配属先の工場で技術開発を行うことでコストを改善していく職のことだ。

例えば自動車工場なんかだと、自動車を組み立てるプログラムを改善して時間あたりの生産台数を増やすとか、使用するロボットの素材を刷新して寿命を伸ばすとか、ラインに必要な労働人数を減らして人件費をへらすとか、そんな仕事が生産技術職にあたる。

(自動車工場で働いているわけではないので、この例が妥当かどうかは分からないが、少なくとも自分の勤め先ではこんな感じである。)

自動車を組み立てるプログラムとか使用するロボットとか、技術の根幹は本社の研究所なんかが開発した技術をそのまま使うのだが、それを現場にフィットさせる上で必要な、現場目線の小技術を開発する仕事とも言えると思う。

こう書くと、技術者でありながら机上ではなく現場で戦っているという、ちょっとカッコイイイメージが湧くかもしれない。

だがそんなのは幻想だ。実際の所、工場の生産技術職というのは体の良い奴隷である。

 

工場の生産技術職の実態

ここからはあくまで自分の勤め先の話を書いていく。自分のいる部署の状況は極端な方なので、他のところも同じ様な状況だとは思わない。

 

工場というのは基本的に年中無休で動いている。生産ラインを止めた分だけ赤字になるからだ。

生産ラインを止めている間はお金の動きが発生していないように見えるが、実際は土地や工場等の資産にかかる税金だとか、いわゆ固定費というものが時間とともに発生し続けている。それに、工場を止めるということは機会損失が発生するということでもある。この機会損失と固定費を回収するために工場は年中無休で動くことを強いられているというわけだ。

それはつまり、生産ラインを止めてしまったときの損失がものすごく大きいということも意味する。計算してみたことがあるが、自分の勤め先の工場だと、生産ラインを1時間止めたときの損失はン千万レベルになる。

だから工場にとっては生産ラインを止めないことが最重要なのだ。口では安全第一とか言っているが、みな生産ラインを止めないことを重要視して行動している。

だが実際の所そんなに上手くはいかず、ちょっとした機械トラブルで生産ラインは止まる。そういうときに出番なのが生産技術職だ。現場に赴き、技術的な判断を下して生産ラインを復旧する。

それが勤務時間内なら良いのだが、機械トラブルなんて24時間・休日問わず起こる。その度に電話が鳴る。「機械トラブルだ!来てくれ!」と。

つまり生産技術職にゆっくり休める時間など無いのだ。常に仕事のために準備していなければならない。トラブルが起こる頻度が低ければ良いのだが、そんなもの毎日起こると言っても良い頻度だ。休みをとってもトラブルが起こったせいで休めなくなることの方が多い。そんな状況では長期旅行にもいけない。

 

過酷な職場を生き抜いてきた上司は、部下にも過酷であることを強いる

まともな職場なら、イレギュラーな出勤が発生したときに代わりの休みを設定するんだろうが、自分の勤める部署ではそのような風習はない。深夜に呼び出されようが、土日が潰れようが一切の手当てもつかない。

上司の方針でそうなっているのだ。生産技術職という過酷な職を全うして上司になった人間は、その過酷さが当たり前だと思っている。だから同じことを部下にも強いるのだ。

口を開けば「俺のときは1ヶ月家に帰れなかった」だの、「残業代をもらったことなんて無い」だの、そのような昭和のおとぎ話をし始める。パワハラを耐え抜いた人間がパワハラをするという負のスパイラルだ。

 

個人的に一番キツかったのは入社して2年目のとある月のこと。連日トラブル続きで全く家に帰れず、睡眠もできず、頭の奥に常に鈍い痛みを抱えながら働いた1ヶ月だった。

この頭の鈍い痛みは中々消えてくれなかった。その月に友人の結婚式があったのだが、鈍い痛みと目の下のクマを抱えて出席したら、新郎新婦にひどく心配されたな。

その月はさすがにムカついたので残業代を全て申請したのだが、付けた残業代を上司が部署内で回覧したせいで、工場の現場のおっさんたちに非難されたことも覚えている。

 

ここまで聞くと「パワハラで通報しろ」と思われるかもしれないが、自分はまだこの会社にいたいと思っているのでそのようなことはしない。過去に労基に通報した人がいたようだが、一瞬で特定され会社にいられなくなったとのことだ。

こんなひどい環境では有るが、仲の良い現場のおっさんが何人もいる。その人たちとの普段のコミュニケーションを考えると、まだ自分は持つなと思う。仲の良い同僚はみなやめてしまったが。

 

最後に

とまあ色々書いたが、あくまでこれは自分の勤め先での話だ。世間の生産技術職全てがこのような状況だとは思わない。

ただハズレを引くとこんな状況になる。大学生には新卒カードの使い方をよく考えて欲しいと思うばかりだ。

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