今回は「ホクサイと飯」を紹介します。
著者は鈴木小波先生で、ドラマ化もされた「ホクサイと飯さえあれば」の後日譚ですね。
後日譚と言っても、「ホクサイと飯さえあれば」よりも前に連載されていた作品です。掲載誌が休刊になってしまったため「ホクサイと飯」が打ち切りとなり、続編として「ホクサイと飯さえあれば」が描かれたという経緯があります。
一応後日譚という位置づけにはなりますが、この1冊でも楽しめる内容です。
タイトル:ホクサイと飯
著者 :鈴木小波
出版社 :講談社
目次
「ホクサイと飯」のあらすじ
一人暮らしの女性、山田ブンは締め切りに追われる毎日を過ごす漫画家。今日も締め切りに追われるが、料理に対して妥協はできない。原稿が白いことをホクサイに諌められるが、今日も熱意は料理に向けられる。
そんな山田ブンとホクサイの軽妙な掛け合いで進んでいく日常を描いた、ほっこり料理漫画。
感想
ページを捲ってすぶに印象に残るのは、鈴木小波さんの特徴的な画風ですね。トーンを使わない淡白な白黒で画面が構成されていて、水墨画を彷彿とさせます。この画風、自分はかなり好きですね。ただちょっと人を選ぶかもしれません。
そんな画風でも料理の描写は的確です。できたての温かい感じとか、料理の食感とかを簡単に想像できる絵なんですよね。自分で料理をして目の前に完成品がある、そんな臨場感があるような。
引用元:鈴木小波「ホクサイと飯」(講談社)
著者の鈴木先生もきっと料理が好きなんでしょうね。料理のリアルさもそうなんですが、山田ブンが語る食へのこだわりとか、料理中の擬音の描写とか、そういう所からも垣間見えます。
ただこの漫画、料理漫画なのに作った料理を食べないんですよね。なので料理の感想がキャラから語られることはほぼありません。いただきますとか乾杯って言ったところで話が終わります。
料理を作るに至った経緯とか、作る上でのこだわりとか、そういうところを重視した漫画ということですね。そういう意味では料理漫画というより、日常系漫画といった方が良いのかもしれません。
料理を食べないなんて料理漫画のタブーだろという意見もあるかもしれないですが、感想にページを割かない分、キャラクター性はより深く見えてくるんですよね。
山田ブンは作中でもかなりの熱意で食へのこだわりを喋っているので、親近感がみるみる湧いてきますね。近所にいるような気までしてきます。そういう意味では料理の感想戦を省いて正解だったかもしれません。
最後に
という訳で「ホクサイと飯」の感想でした。
鈴木先生の漫画では「ヒダルとヒルダ」もおすすめです。こちらも1巻完結の料理漫画です。