雑記

「なぜ勉強をしなければならないのか?」と聞かれた時どう答えるか

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塾講師のアルバイトをしていたとき「なぜ勉強しなければならないの?」と生徒によく聞かれた。「スマホで調べれば何でも出てくるのに」と。

「この生徒にはこう答えるのが良いだろう」と考え、生徒ごとに違う回答をしてきたが、結局上手く説明できたことは無かった。

 

世の中は勉強ができる奴に都合が良くできているから

今の世の中は勉強ができる奴に都合良くできている。

例えば収入面だ。高卒と大卒だと、50歳の時点で約200万円の年収差ができる。平均年収というデータだけを見るならば、高卒の夫婦は子供にゲームを買ってやることすらままならない。

(この辺のことは以前も書いた↓)

「なぜ勉強しなければならないか」を収入の観点で考える

自分の職場を見渡すと、優秀な高卒はたくさんいる。彼らよりも能力の低い大卒もいくらでもいる。

でも学歴の差が覆ることはない。高卒は何十倍もの倍率を勝ち抜き、50歳でようやく係長になれるが、大卒はどんな無能でも40歳で課長(もしくはそれ相当のポジション)になれる。これはあくまで自分のいる会社の話だが、世の中の多くの会社は似た構造になっているのだろう。

そしてこれが変わることはおそらくない。なぜならこの構造を作ったのが高学歴の人間だからだ。上層部に鎮座する高学歴たちが、自分の立場が揺らぐような構造の変化を認めるはずがない。それに高学歴の子は基本高学歴になる。自分の子らが不利になるような構造の変化も、同じように認めないだろう。

 

このような話をすると「でも勉強しなくても成功している人はたくさんいる!」と反論される。「プロ野球選手とかは勉強しなくても何億ももらってる!」と。

プロ野球選手が勉強をしなかったというのは暴論だとは思うが、まあ一理ある。そういう子にはプロ野球になるのがどれだけ難しい道か説明すればよい。

毎年のドラフト会議では100人超の選手が指名され、プロ野球選手になる。それに対し、甲子園に出場する高校生の人数は春が500人、夏が900人程度だ。両方に出場する高校もあることを考えると、毎年1000人程度の高校生が甲子園の土を踏むことになる。

県内では無敗を貫き甲子園までたどり着いた球児でも、少なくとも9割はプロ野球選手になれない計算だ。狭き門過ぎる。甲子園にでるような一流高校でトップの実力でないとプロ野球選手にはなれない。

このような例外とも言える立場を反論に挙げるような子には、それが例外であることを伝えた上で「で、君は例外側の人間なのか?」と問いかければ良い。

 

勉強しなくて良い職業なんてないから

上記の回答は味気ないから嫌いだ。だからたいていはこう答える、「勉強が必要にならない職業なんてない」と。もう一度プロ野球選手を例に挙げてみる。

プロ野球選手は日々コーチに指導を仰ぎ、トレーニングを重ねている。まあしかし、そのコーチが言うことが間違っていることもあるのだろう。コーチの言うことが正しいならば、全てのプロ野球選手が成功するに決まっている。そうならないのは、個々の選手の才能に依るからということはもちろん、選手の判断にも依ると思っている。

例えば体の構造を理解している選手なら、コーチの言うことが合っているのか間違っているのか、自分で判断できる余地が生まれる。

体の構造を理解することは生物を学ぶことと同じと言える。体の動かし方は物理だし、体を動かすための物質のやり取りは化学だ。その辺を勉強しなかった人はただコーチの言うことに従うことしかできない。つまり勉強をやめるということは自分で判断する余地を消すということだ。

この辺のことは普段のトレーニング以外のことにも言える。ウェア等の素材を選ぶ上で重要なのは化学の知識だし、栄養面では生物が重要になる。資産の運用は数学と経済だ。勉強しなくて良い職業なんてない。

(プロ野球のインタビューを見ると「この人何も考えてなくないか?」と思う人もいるが、そういう人を本当の天才と呼ぶのだろう。)

「別に知らなくても調べれば良い」と思えるかもしれないが、プロ野球選手をやる上で最適なトレーニングなど無い。あったらプロ野球選手全員が億単位の年俸をもらっている。何が最適かを判断するのは個々人で、その判断のベースになるのは普段の勉強なのだ。

 

自分の可能性を広げるため

2つ理由を書いてみたが、なんというか情が無い回答になった気がする。

本当は「自分の可能性を広げるため」と答えたい。勉強すれば勉強するほど、今まで見えていなかったことが見えてくる。同時に興味を色々な方向に湧いてくる。

その興味の持ち方が人それぞれだ。でも勉強しなければ、自分の興味がどこを向いているのかは分からない。だから広く浅く、義務教育で勉強するのだ。自分の興味の方向を確かめるために。

「じゃあ僕はゲームにしか興味が無いので、それ以外のことは勉強しません」と言われそうだ。こういった反論に弱いのがこの答え方の弱点だ。結局上2つに書いたような回答を補足として付け加えるしかない。

 

最後に

という訳でいろいろ書いてみた。

答え方には色々あると思う。納得いく答え方が思い浮かんだら追記するかもしれない。

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