今回は「ヒダルとヒルダ」を紹介します。
タイトルにも書きましたが、タタリ神に取り憑かれた主人公が、タタリ神を満足させるために各地のグルメを巡る漫画です。
著者の鈴木小波先生は「ホクサイと飯さえあれば」等、料理漫画に定評がある先生ですね(まあホクサイは作った料理を食べる描写が無いという、料理漫画にしては珍しい作品だったんですが)。
こちらは1巻完結なので「グルメマンガを読みたいけど長編はちょっとな…」という方には非常にオススメの漫画です。
多くのほっこり描写の中に隠し味的な若干のシリアスもあり、1巻完結のストーリーとしても個人的には満足できた作品です。
タイトル:ヒダルとヒルダ
著者 :鈴木小波
出版社 :少年画報社
目次
「ヒダルとヒルダ」のあらすじ
就活中の女子大生、蛭田はある日タタリ神であるヒダルに取り憑かれてしまう。人間を食べようとするヒダルに対し、蛭田は代わりにご当地グルメを巡ることで満足してもらおうと考える。
就活が上手く行っていない蛭田の自分探しも兼ねた旅の中で、着々と仲を深めていく蛭田とヒダル。ヒダルも人間を食べるのをやめようとする。
しかし、タタリ神は人間を食べなければその存在を維持できない。それを知った蛭田は、ヒダルを救う方法を模索し始める。
感想
まず印象に残るのは鈴木小波さんの画風です。水墨画のような白黒を基調としていて、かなり個性的だと思います。
正直、作中の料理を美味しそうに見せるという点については、他の有名グルメ漫画の方が勝っていると思います。
ただ白黒基調とは言え、料理やキャラの喜怒哀楽の描写のレベルはかなり高いと思います。自分はこの絵柄の世界観にはかなりハマりましたね。
引用元:鈴木小波「ヒダルとヒルダ」(少年画報社)
ストーリー自体は、基本的に蛭田とヒダルのほっこり掛け合いの中進んでいくので、穏やかな気持ちで読めますね。心を落ち着けたいときとかリラックスしたいときに読むと満足度が高いかなと思います。
終始ほっこりで終わるのではなく、時折挟み込まれるシリアス描写がストーリーの起伏として機能し、飽きることなく読めるのも満足度が高い理由の1つですね。
人間を食べないと存在を維持できないヒダル、就活が上手く行かない蛭田。そしてそんな悩める2人を導くのは、旅先で出会った妖怪・神の優しい言葉。彼らの言葉には、なんだか読んでるこちらまでカウンセリングされてる気分になります。
読後感は非常に良いので、ぜひ手にとって読んで欲しいなと思います。
最後に
というわけで「ヒダルとヒルダ」の感想でした。絵柄が人を選ぶかもしれませんが、オススメの1冊です。1巻完結なので鈴木小波漫画の入門書的に手にとって見るのも良いかもしれません。
作品の雰囲気は「ホクサイと飯さえあれば」などと似ています。こちらもオススメのシリーズです。