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【漫画レビュー】中華ファンタジーの名作短編集「蓬莱トリビュート」

今回は「蓬莱トリビュート」という漫画を紹介します。

中国の古典を漫画にした短編集ですが、古典にありがちな教訓めいた内容が主体ではなく、中華ファンタジーといったテイストです。

ただ、ハッピーエンドの物語もありますが、読後感の悪いものも多いところは古典チックかなと思います。

タイトル:蓬莱トリビュート

著者  :鮫島円人

出版社 :リイド社

 

目次

 

「蓬莱トリビュート」のあらすじ

貴族に墓守を任されている男は、ある日、犬に襲われている狐を助ける。狐がメスだったら恩返しに来るのにな、と軽口を叩いていた男だが、その夜実際に美女と化した狐が御礼にやって来る。喜ぶ男だが、その美女と深い仲になるほど体調が悪化していき…?

このような古典的導入から始まるファンタジー短編集。

 

感想

中国古典と聞くと、漢文の授業で習ったような教訓めいたような内容を想像するかもしれませんが、この短編集は中国古典の中でもファンタジーチックなものに焦点を当てています。

作者の鮫島先生の経歴はちょっと調べた感じだとよく分からなかったのですが、画力はかなりあり経験豊富な方ではないでしょうか。

古典描写をシリアスに表現しつつも、登場する女性をポップに可愛く描いたり、艶やかさを強調したりと、表現力は素晴らしいと思います。

個人的なお気に入りは「異類の娘」という話です。

引用元:鮫島円人「蓬莱トリビュート」(リイド社)

虎の娘であるヒロインの可愛さもそうなのですが、虎と化すシーンの美しさも見事な話でした。その画力も含め、異類との恋を古典はどのような結末に持っていくのか、そこにも注目してもらいたい話です。

注意点としては、古典原作ということもあり、バッドエンドが多いこと。近代中国の人ってバッドエンドが好きだったんですかね…?

特に日本の古典でもそうなんですが、異類との恋は中々上手くはいかないですね。むず痒くなるような読後感を感じる話もありますが、そこも含めて面白く読める作品だと思います。

 

最後に

という訳で蓬莱トリビュートの感想でした。バッドエンドが多いのは中国古典らしいですね。

作者の鮫島先生はTwitterとかはやってないみたいです。現在どういう活動をされてるか分かりませんが、他にも作品を出しているのであれば追っていきたいと思います。

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