今回は「宇宙のプロフィル」という漫画を紹介します。
ファンタジーの短編集になっています。「こがたくう」名義の作品になっていますが、作者は田中空さんという漫画原作者の方です(作画はまた別の方)。
田中空さんの巧みなアイデアが詰まった短編集になっており、物語の所々で言葉を呑むような発想を目にできます。
短編集なので、ちょっとした時間に読み進めることもできる、オススメの1冊です。
タイトル:宇宙のプロフィル
著者 :こがたくう(田中空さんの別名義。作画は山川まちさん)
出版社 :講談社
目次
「宇宙のプロフィル」のあらすじ
遠い未来、耳に大きな角を持つよう進化した新しい人類「有角人」がいた。彼らはエルキドと呼ばれる巨木を住処としていた。
ある日、有角人の少年ポルックスは、エルキドの上に何が有るのか興味を持つ。彼は道中出会った謎の宇宙人と共に頂上を目指すことにする。
そんなポルックスの冒険から始まる、5編の短編集。
感想
宇宙をテーマにしたSF短編集になっています。
読み進めると分かりますが、物語の展開やオチには独創性がありますが、古典的なSF漫画のような懐かしさも感じられます。
個人的に、読後感としては手塚治虫の火の鳥を読んだものに近いかと(火の鳥のように生死をテーマにしているわけではありませんが)。
お気に入りの話は2つ目のエピソードの「京子の夢」。
引用元:こがたくう「宇宙のプロフィル」(講談社)
「夢の中で他人に入れ替わる」という、この短編集の中ではベタよりの設定になります。
夢を通じて相手がどんな人物かを知ることができますが、2人が出会うことは無い。2人の人生がこの後どのように交わるのか、期待を抱きながら読み進めると、最後に待っていたのは意外な結末。伏線は張られてたと言えど、感心しました。
他の短編にはバッドエンドと言えるものもあります(というよりバッドエンド多めなので、読後感が少し苦しいかも)。宇宙は神秘的なものですけど、同時に残酷なことも描写したかったのかな、と思いますね。
設定が少し強引かな?と思うところもありますが、その設定について読者に考えさせる作品にもなっています。作者のアイデア力と宇宙の神秘性が噛み合った結果かな。
短編集なので後日談とかは無いのですが、読み終わった後には、物語のその後とか宇宙の神秘性とか、創造をを張り巡らさざるを得なくなると思います。
最後に
というわけで「宇宙のプロフィル」の感想でした。宇宙関連のSFが好きだとか、発想に富んだ作品を読んでみたい方にはかなりオススメです。
原作者の田中空先生の作品だと、ジャンプ+で「終わりのパンダ」等が無料で読めます。ジャンプなのでアクションに力を入れた感じがありますが、物語の雰囲気自体はこの短編集に似ています。
SFのアイデアが秀逸な方なので、今後も田中空先生の作品は追っていきたいと思います。